グー神
グー神とパー神がいた。グー神とパー神が争えば、決まってパー神が勝利を手にした。あるとき、敗れたグー神が嘆いて言うには、
「私はいまだかつて存在しなかったことはないが、その存在の際にパー神に勝利したこともまた無い。勝ったことのある相手といえばトックリヤシぐらいのものなので、一度でもなにか他のものに勝ってみたい」
その場にいたパー神が言うには、
「ものごとは勝ち負けじゃないよ。私はトックリヤシというものをこの目に見たことがないし、あなたグー神はいつも道でイヌというイヌに舐められているではないか。私はいまだかつてブタという生き物を見たことがないが、人間がいうには美味しいということらしいよ」
グー神が言うには、
「そのようにあなたパー神が考えるのであれば、次には私に勝利を与えてください。私には勝利が必要です」
グー神が重ねて言うには、
「ああ、私は今にも死んでしまいそうです。勝利が与えられないというのは死と同じです。存在していても死んでいるということはこのようにあります。私はトックリヤシに対してしか生きていないのと同じです」
グー神が重ねて言うには、
「パー神、パー神、勝利を与えてください。パー神、勝利を与えてください」
パー神が答えて言うには、
「人生に勝ち負けはないよ」
パー神がさらに言うには、
「グーパー! グーパー!」
グー神、パー神
「グーパーグーパー!」
「グー!」「パー!」「グー!」「パー!」「グー!」
「・・・・・・」
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